解の公式

コートを着ないで外に出てみる。長袖Tシャツの上に半袖のTシャツだけを着て。でもあったかい。こんなに一気に薄着になったことなんて今までにあったかな。商店街の本屋で『群像』と『新潮』と『文學界』を買う。それぞれ一冊ずつしか置いてないので、おれが買っちゃっていいのだろうか、といつも思う。来月はリブロまで行こう。ビルディでオムライスを食べ、ドリンクバーのホットコーヒーを飲みながら、目に付いた記事からざくざく読んでいく。まずは『群像』の星野智幸による高橋源一郎の『性交と恋愛にまつわるいくつかの物語』の書評。次に高橋源一郎と山田詠美と島田雅彦の座談会。『文學界』に移って村上春樹のロングインタビュー。高橋源一郎の『ニッポンの小説』。『新潮』に移って斉藤環による青木淳悟『四十日と四十夜のメルヘン』の書評。村上春樹の連作短編、東京奇譚集2『ハナレイ・ベイ』。ちょっと離れた壁際の席では、女子高生のふたり組がテスト勉強をしている。ふたりは声を揃えて「解の公式」を諳んじていて、それはふたりの声の高さの違いにより必然的にハモってきこえ、こんなに美しい「解の公式」をきいたのははじめてのことだなと思う。