夢日記2021年1月

大学への通学路。駅からの道のり、川を渡る橋の途中。

グラタン皿のような、白くて浅い、四角い食器に盛られたミートソースをスプーンで食べながら、ぼくは横向きに歩いている。その一角は事故防止の観点から横向きに歩く必要があるようだ(右方向に大学がある)。

右側の数歩先に、ほとんど横向きに並ぶような形でI.Tくん(幼稚園から高校までいっしょだった同級生)が、ぼくと同じようにミートソースを食べながら歩いている。ミートソースはレトルトのもので、彼とぼくのものは同一の製品だ。湯煎するタイプのタイだかインドネシア産だかのミートソース。ただ彼の食器は丸く、中央にハンバーグが乗っていて、豪華だな、とぼくはうらやましくおもう。

I.Tくんは「まったく同じものでも、ひとからもらったもののほうがおいしく感じられるとおもうから」といって、じぶんのミートソースをスプーンひとさじぶん、ぼくのお皿に分けてくれた。混ざりはじめてしまう前にぼくはそれをたべる。もらったミートソース部分だけをなるべくスプーンで掬うようにしてたべてみると、たしかにだいぶおいしく感じられて、彼のことば通りだったのでびっくりしてしまった。「となりの芝生は青く見える、ってやつだよね。となりのミートソースはうまい」とI.Tくんはいった。でもそっちにはハンバーグがあるじゃん、とぼくはおもう。

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国道16号沿いのパチンコ屋のバックヤード(相模原あたりの感じ)。ぼくはそこにかつて勤務していたようだ。働いていたことの知識を生かし、シフトに入っている従業員の休憩時間のすきを突いて、白昼堂々と、洗いたてのフロアマットを2枚盗む

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学年が変わって、初めて足を踏み入れる教室。前年までとほとんど代わり映えがしないにも関わらず、なにかが一新されたことの新鮮さと、学年が上がったことの誇らしさのようなものがある。ワックスがかけられて、ぴかぴかの木の床。古びて柔らかな質感。窓が開け放たれて気もちのよい空間。

ぼくはトイレに行く。個室に入る。トイレの壁はすべて透明だ。なので用を足すのにためらいがある。便器のまわりは水浸しで、かなりどろどろなひどい状況なので「じぶんはここで用を足すべきなのだろうか?みんなこんなとこで用を足しているの?」と途方に暮れてしまう。

S.Kくんがしぜんにぼくのいる個室に入ってきて、なにか雑談をはじめるのでなおさら用を足しにくい。思い切って窓の外に見える赤茶色の公共施設のトイレに行ったほうがいいのかな、とぼくはおもう。

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恥ずかしくなるとカセットテープくらいの大きさに変形する女の子。目の前の空中で瞬時にぱたぱたと不可思議に折りたたまれてゆく。10×5×1cmくらいの形状。変形が終わった瞬間、ぼくは彼女が地面に落下する前に両手ですくい上げるように支え持った。超合金のようなテクスチャーと重さ、それから手触り。前面の縦中央3分の1に白い歯がまっすぐ並んで不気味な様相ではあるが、たしかにこれはさっきまでの彼女だということが感じられるし、超合金の口が開き、会話もちゃんとできるのだった。

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向い合せで10席ずつくらいの、中央に店員が移動するスペースがある狭いカフェバー。「福しん」のような感じ。通りに面してはいるが店内はかなり薄暗い。

店の奥にはDJスペースがあり、そこでは10人くらいの男女が静かに踊っていて、彼らはマスクもしていない。そこではじめてこの店はウイルス的にだいじょうぶかな、とぼくはおもう。狭いのにたくさんのひとが密集していたからだ。でも実際には音楽の音も聞こえず、オレンジ色の間接照明で満たされた店内はほぼ無音である。

ぼくの左側には安室奈美恵がいる。ぼくは彼女といっしょにお酒が飲めてうれしいなとおもっているが、いつまでたってもぼくの注文したビールが来ないので、安室奈美恵のビールを少しもらった。なんだか慣れない店内でじぶんだけが軽んじられているというような被害妄想が持ち上がる雰囲気。安室奈美恵は常連らしく、めちゃめちゃフレンドリーに店内の顔見知りにつぎつぎと挨拶をし続けていて、おもうように彼女と話すことができないぼくは走って部屋に帰ることにした。雨が降っているからこのカフェバーに雨宿り的に入ったのだということに外に出てから気づく。

部屋のドアを開けるとき、はじめてとなりの住人と出くわし、挨拶をする。大学生くらいの男の子。部屋の前にギターやらなんやらの楽器や機材が置かれていて、バンドマンなのかなとおもう。

目が覚めて、あれって夢だったのでは?とおもうが、どうかんがえても夢ではないよな、という結論に達して、スマホでたしかに交換したはずの安室奈美恵の連絡先を探すが見つからないので、絶対交換したはずなのにおかしい、とおもう。

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国道沿いのディスカウントストアで買いものをした帰り。友人の大きなワゴンに乗せてもらって帰路につく。昨今のSNSなどでのひとびとの極端な言動にはなにか理由があるのか?というような質問をされたので、ぼくは以下のように答える。

「ことばというものは、それを使用したひとに一貫性を求めるが、その一方で心はつねに揺れ動いているものなので、その齟齬そのものがことばによって表現される以上、ひとびとの言動というものは、本来あやふやなものにならざるを得ない。でもそれをことばで補完・克服して発言するので、そのときに最初の思惑よりもさらに盛られた表現になってしまうから極端になってしまうのではないか」とぼくはとなりに座っていたN.Tくんに説明する(われながらうまく説明できたので、起きてからも覚えておこう、とぼくはおもう)(だからちゃんと覚えていられた)(起きてから考えると大したことを言っていない)。

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伯父が経営している中古CDショップに行く。こんなご時世で経営状態はだいじょうぶなのだろうか?とぼくはおもうが、このコロナ禍で「おむつ」が抜群に売れているらしく、むしろ通常より儲かっているとのこと。店内を見渡してみるとたしかにドラッグストアのような品揃えだった。ぼくは「スモール・フェイセス」のCDを探している。