インスタント焼きそばの夢

「インスタント焼きそばのゆで汁でうなぎを洗うと書類の文字を綺麗に消せる液体になる」ことを知った僕を除く親類一同は、近くのスーパーマーケットで四トントラック一杯の『大盛りイカ焼きそば』を買って来た。僕はそんなバカなことがあるわけない、と思っているが家の前に四トントラックが止まって、もう好きなようにしろ、と思う。トラックから降りてくるみんなに向かって僕は言う。
「失望してる奴はすぐに何かにすがりたがる」
みんな、これで会社で昇進できる、と喜んでいる。昔、母の同僚がずっと昇進できず、社長に掛け合ったところ、魔法の液体で書類の文字を消し、見事、課長になれたそうだ。
「わたし、もっと昇進できないのでしょうか?」
「それがね、できるんだよ」と社長。
そんなわけで、みんなとても喜んで、お湯を注いでいく。
赤くて、四角いパッケージのインスタント焼きそば。