洞窟の夢

洞窟の中で何かが起こる、ということを知って、僕は友達といっしょに暗闇の中で待っている。奥の方から何か音が聞こえて来る。音は徐々に大きくなり、近づいて来る。音の高まりと共にいきなり壁が音を立てて崩れ、夥しい数の何かが、どんどん外に向かって移動して来た。それは何か虫の群れのように見えるが、同時に十円玉のようにも見える。僕はポケットから十円玉を一枚取り出して、その群れの中へ落とす。昭和四十一年の十円玉。