夏の思い出としては

美容院に行ってきた。すごい涼しい。スタンプカードを見たらぴったり半年ぶりだった。
自転車をこいで美容院から帰ってくる途中、お祭りをやってる公園の前を通ったら、がきんちょに水鉄砲で撃たれた。Tシャツがびしょびしょだよ。どうして名もなき市民を撃つんだい?というかどうして祭りにあんなハイテク水鉄砲を持っていくのかね。できればもうちょっとかわいらしいのにしなさい。もちろん、夏の思い出としては、水鉄砲で撃たれてとてもよかったと思ってはいるけれど。
家に帰ったら件のお祭りの焼きそばとフランクフルトが大量に置いてあった。母がお祭りの手伝いをしているからだ。どうやら焼き鳥を焼いているらしい、との有力な情報を妹から得た。今日、この地域ではいたるところでお祭りが行われているようだ。美容院でも、「今日は花火に行かないんですか?」「こないだの駅前のお祭りは行きました?」と聞かれ、今日花火に行くつもりはないし、こないだのお祭りも行かなかった、とぼくは答えた。「夏を満喫していませんね」と美容師の女の子はいった。「ぜんぜん」。
ぼくは小さいころお祭りが苦手だった。それでもいやいや山車を引いたときに、踏まれた靴が脱げてどこかにいってしまい途方に暮れる、ということがあってからもう二度と山車を引くまい、と心に固く誓ったのだ。でも最近はそんなにお祭りが嫌いじゃない。むしろ好きだといってもいい。でも今年はなんとなくお祭りする気分ではないのだよ。これを説明するのは難しいのだけれど。一人でビールを飲みながら、ぶっ壊れたみたいに部屋を冷やしている冷房の真下で、お祭りの焼きそばをいま食べ終えたところだ。